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【コラム】それじゃ販売店は育たない
2016年04月13日 (水) 12:00

先日こんな話しを聞きました。

「Aさんはある販売店からボートを新品で購入したが、エンジンが不調でその販売店に修理を要請した。
しかし原因が特定できず、いつまでもたっても修理が終わらない。忙しい販売店は次第にお客さんを遠ざけるようになった。
その対応に不満を持ったAさんはメーカーのお客様相談室に相談した。
メーカーは直接Aさんから話しを聞いて手厚い対応を約束し、Aさんはほっとひと安心。」

一見すると、お客様目線で迅速に対応したメーカーの美談に見えるかもしれませんが、私はこのメーカーの対応に大きな疑問を持ちます。

私が問題とする点は、販売店とお客様のトラブルにメーカーが直接乗り出してしまったことです。お客様とのトラブルは、あくまでも販売店に解決させなければならないというのが私の考えです。

 

販売店はトラブルが発生したら迅速かつ適切に解決しなくてはなりません。そのために日々勉強して経験を積み、失敗を繰り返しながら成長します。もし困った時にメーカーが直接乗り出して救済してしまったら、その販売店はいつまで経っても成長しません。

「お客様を大事にするという精神において、メーカーの対応は間違っていないのでは?」という声もあるかも知れません。しかし私は、「お客様を大事にする」という意味を勘違いしているように思います。そして問題の本質はここからです。

トラブルを適切に解決できる販売店は、トラブルが発生しないように設備や人に投資したり、様々な工夫をしたりします。当然それらはコストとして販売価格に反映されます。一方、トラブルリスクを考えない無責任な販売店は商品を安く販売できます。いざトラブルが起こった時、無責任な販売店には困ってもらわなくてはなりません。さらに価格だけでお店を選んでしまったお客様にも泣いてもらわなくてはなりません。もしメーカーが救済してしまったら、販売店はいつまでたってもアフターサービスの大切さを理解しませんし、お客様は販売店選びの重要性を理解しません。

そんな無責任な販売店や価格だけで店を選んだお客様を救済するための費用ですが、実はみなさんが支払う代金の中から捻出されます。なにか納得いきませんよね。誠実に商売をしている販売店、しっかり販売店を選んでいるお客様がバカをみるような世の中であってはならないと思います。

ボーターズ編集長KB