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塩による錆や腐食を防ぐ塩害防止剤「ソルトアウェイ」、船舶や釣り、ダイビングなどのメンテナンスに広く使用されている。水上オートバイのフラッシング(冷却水通路の水洗)では専用ミキサーで原液を希釈し使用するがその濃度はどれほどまで効果があるのであろうか。
今回は、ソルトアウェイ専用ミキサーを使用して、もっとも有効な水上オートバイのフラッシング時間を徹底検証してみる。
 
| 目次 | 
ソルトアウェイの成分のひとつに界面活性剤がある。食器洗剤などにも含まれる界面活性剤と性質は非常によく似ている。食器洗剤は油の分子を界面活性剤が取りつき剥がし、分子同士を再び結びつきにくくさせることで汚れを落とす。ソルトアウェイも同じように界面活性剤が塩分を包み込み剥がし洗い流してくれる。塩分を除去してくれるので錆や腐食を防ぐことができるのだ。しかも、生分解性のため環境には無害である。
| 成分 | |
| 無害な界面活性剤 | 5~10% | 
| 腐食防止剤 | 5~10% | 
| 無害なカップリング剤 | 5~10%(有機材料と無機材料; 異種の素材を科学的に結び付ける) | 
| 水(導電率の低い純度の高いもの) | 70~85% | 
マリンエンジンの塩分除去を目的に開発されたソルトアウェイ。今回は水上オートバイのフラッシング(冷却水通路の水洗)について、公式HP(ホームページ)Q&Aコーナーから一部を抜粋してご紹介しよう。
 濃ければ濃いほど効果がありますか?
濃ければ濃いほど効果がありますか?
 20%以上の濃度で使用しても効果に違いはでません。
20%以上の濃度で使用しても効果に違いはでません。
 ソルトアウェイを使ってエンジンフラッシングは毎回必要ですか?年に数回でいいですか?
ソルトアウェイを使ってエンジンフラッシングは毎回必要ですか?年に数回でいいですか?
 海水での使用時は毎回の使用を推奨しております。
海水での使用時は毎回の使用を推奨しております。
 何分くらいフラッシングすればいいですか?
何分くらいフラッシングすればいいですか?
 メーカー規定のフラッシング時間を推奨しております。
メーカー規定のフラッシング時間を推奨しております。
 水量はどれくらい必要ですか?
水量はどれくらい必要ですか?
 適正な水圧は最大60PSIです。(通常水道水は、150PSI程度なので全開で使用した場合正しくミキシングされないことがありますのでご注意ください。)
適正な水圧は最大60PSIです。(通常水道水は、150PSI程度なので全開で使用した場合正しくミキシングされないことがありますのでご注意ください。)
 専用ミキサーはどう使うの?どうジェットとつなぐの?
専用ミキサーはどう使うの?どうジェットとつなぐの?
 メーカーにより異なります。専用コネクターが必要な場合が御座います。
メーカーにより異なります。専用コネクターが必要な場合が御座います。
 フラッシング時にどれだけの量をしようしたらいいの?
フラッシング時にどれだけの量をしようしたらいいの?
 カップ満タンで使用することを推奨しております。フラッシングだけをおこなう場合はカップ半分ぐらいで使用されるユーザー様もいらっしゃいます。
カップ満タンで使用することを推奨しております。フラッシングだけをおこなう場合はカップ半分ぐらいで使用されるユーザー様もいらっしゃいます。
 濃度について
濃度について
 専用ミキサーを使用する場合は自動的に希釈されます。
専用ミキサーを使用する場合は自動的に希釈されます。
 ソルトアウェイでエンジンフラッシングをした後に、水で洗い流してもよいですか?
ソルトアウェイでエンジンフラッシングをした後に、水で洗い流してもよいですか?
 エンジンフラッシングした後に水洗いは必要ありません。ソルトアウェイの成分がエンジン内に残ることで塩害防止効果があります。
エンジンフラッシングした後に水洗いは必要ありません。ソルトアウェイの成分がエンジン内に残ることで塩害防止効果があります。
 ソルトアウェイは塗布面に被膜をつくると聞きましたが、どれくらい効果がありますか?
ソルトアウェイは塗布面に被膜をつくると聞きましたが、どれくらい効果がありますか?
 ソルトアウェイの使用後、成分が表面に残ることで塩害防止効果を発揮しますが、水溶性のため水で流れ落ちてしまいます。したがって長期に渡って表面に皮膜を形成して塩害防止効果を維持することはありません。
ソルトアウェイの使用後、成分が表面に残ることで塩害防止効果を発揮しますが、水溶性のため水で流れ落ちてしまいます。したがって長期に渡って表面に皮膜を形成して塩害防止効果を維持することはありません。
 専用ミキサーにソルトアウェイ原液を入れる
専用ミキサーにソルトアウェイ原液を入れる
 専用ミキサーと水道蛇口と接続する
専用ミキサーと水道蛇口と接続する
 専用ミキサーと水上オートバイを接続する
専用ミキサーと水上オートバイを接続する
 水上オートバイのエンジンを始動、水道水を流す
水上オートバイのエンジンを始動、水道水を流す
 メーカー規定時間、水洗をおこなう
メーカー規定時間、水洗をおこなう
  ├カワサキ アイドリング回転数で数分間
└SEADOO アイドリング回転数で90秒
 水道水を止め、数回空吹かしをおこなう
水道水を止め、数回空吹かしをおこなう
ソルトアウェイと水道水のpH(アルカリ性/中性/酸性)について調べてみた。
pHとは、その液体が酸性なのかアルカリ性なのかを示す尺度である。0から14までの段階があり、pH7が中性、それより数値が小さければ酸性、数値が大きければアルカリ性となる。
ソルトアウェイ原液は公式ホームページ掲載の安全データシートによると20℃時点でpH6.2となっており、やや酸性である。水道水はpH7の中性から弱アルカリ性が多いようだ。
ソルトアウェイ専用ミキサー使用時の時間別希釈液のpH測定(10分間の毎分ごと測定)をおこなった。
専用ミキサーに原液を容量一杯の177mlを入れ、水道水を流し希釈した。1分から10分の1分毎の希釈液をサンプリング。
実験風景
水道水参照水圧 0.34Mpa=49.3PSI ※幸田町水道局参照数値 実験は蛇口全開でおこなった。
1分毎の希釈液pH測定
| 1分 | 2分 | 3分 | 4分 | 5分 | 6分 | 7分 | 8分 | 9分 | 10分 | |
| 1回目 | 6.90 | 7.10 | 7.20 | 7.34 | 7.38 | 7.40 | 7.37 | 7.36 | 7.36 | 7.44 | 
| 2回目 | 6.84 | 7.03 | 7.18 | 7.32 | 7.35 | 7.40 | 7.42 | 7.44 | 7.45 | 7.47 | 
| 平均値 | 6.87 | 7.07 | 7.19 | 7.33 | 7.37 | 7.40 | 7.40 | 7.40 | 7.40 | 7.46 | 
| 1回目 | 2回目 | 平均値 | |
| 1分 | 6.90 | 6.84 | 6.87 | 
| 2分 | 7.10 | 7.03 | 7.07 | 
| 3分 | 7.20 | 7.18 | 7.19 | 
| 4分 | 7.34 | 7.32 | 7.33 | 
| 5分 | 7.38 | 7.35 | 7.37 | 
| 6分 | 7.40 | 7.40 | 7.40 | 
| 7分 | 7.37 | 7.42 | 7.40 | 
| 8分 | 7.36 | 7.44 | 7.40 | 
| 9分 | 7.36 | 7.45 | 7.40 | 
| 10分 | 7.44 | 7.47 | 7.46 | 
 
1分毎のpH実験結果をみてみると、4分を超えるとほぼ横ばいになることが分かった。
果たして、専用ミキサーからの希釈液は何分までが効果的なのだろうか。
先におこなった実験でサンプリングしたソルトアウェイ希釈液を使用して塩害腐食実験をおこなった。
海水に1日浸けた鉄くぎを各希釈液に入れ、3日後に鉄くぎの錆発生状況を観察する。
 
 
時間順に鉄くぎを並べて見ると3分から4分で錆が増えてくるのが分かる。5分以降は全体的に錆が多く発生している。
こちらも同様に海水に1日浸けた鉄くぎを各希釈液に入れ、3日後に鉄くぎの錆発生状況を観察する。
 
液体から鉄くぎを取り出し確認をしたが、どの希釈濃度でも錆の発生は無かった。
1分希釈液から2分希釈液では明らかなソルトアウェイの効果が見られるが、3分ではやや効果が薄れている様子。3分から4分にかけて錆発生状況が変わり、明らかに多くなる。
5分以降はすべて同じように錆が発生しているのでソルトアウェイの効果は期待ができない。
濃度別実験では1.25%以上であれば十分な効果が実証された。
先のpH実験でも3分から4分にかけて水道水のpHに近づいていた。4分以降ではソルトアウェイ濃度が低いと思われる。
1) 希釈率別の色とpH
ソルトアウェイの濃度を1.25%・2.5%・5%・7.5%・10%・20%・30%・50%に希釈し、それぞれのpH値を測定した。(2回計測して平均値を抽出)
 
| 1.25% | 2.5% | 5% | 7.5% | 10% | 20% | 30% | 50% | 原液 | |
| 1回目 | 6.58 | 6.58 | 6.53 | 6.43 | 6.39 | 6.30 | 6.25 | 6.18 | 6.06 | 
| 2回目 | 6.61 | 6.51 | 6.41 | 6.40 | 6.35 | 6.29 | 6.25 | 6.15 | 6.02 | 
| 平均値 | 6.60 | 6.54 | 6.47 | 6.42 | 6.37 | 6.30 | 6.25 | 6.17 | 6.04 | 
| 1回目 | 2回目 | 平均値 | |
| 1.25% | 6.58 | 6.61 | 6.60 | 
| 2.5% | 6.56 | 6.51 | 6.54 | 
| 5% | 6.53 | 6.41 | 6.47 | 
| 7.5% | 6.43 | 6.40 | 6.42 | 
| 10% | 6.39 | 6.35 | 6.37 | 
| 20% | 6.30 | 6.29 | 6.30 | 
| 30% | 6.25 | 6.25 | 6.25 | 
| 50% | 6.18 | 6.15 | 6.17 | 
| 原液 | 6.06 | 6.02 | 6.04 | 
2) カップ内混合液の色の変化
3) ソルトアウェイ原液・海水・水道水の錆発生実験
[ポイント1] 有効時間は1分以内
メーカーやモデルによってフラッシングの推奨時間が異なるが、適切な時間内で最初を水だけのフラッシング、後半1分をソルトアウェイの混合液によるフラッシングが効果的な方法と考える。
[ポイント2] 仕上げ用に原液の補充
[ポイント3] ミキサー内に残った混合液
しかし、ソルトアウェイが塩分除去に対して非常に効果的な製品だということは間違いなさそうだ。
| ソルトアウェイ公式サイト:https://www.saltaway.jp/ [国内総販売元]RESUCO 〒444-0124 愛知県額田郡幸田町深溝大角豆田1-6 TEL:0564-56-0001 FAX:0564-56-0002 E-Mail:resuco@jsp21.co.jp URL:https://www.resuco.com/ | 
※身近な興味を研究調査する、それがRプロジェクト
2019年5月 Rプロジェクトメンバー:近藤
2019年05月22日 (水) 16:50
 
     
		




















